Twilight Lover
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5月4日開催 SUPER COMIC CITY 31 SUPER TOKYO罹破維武 2024にて発刊しました新刊です。 灰谷蘭×ネームレス女夢主の夢小説本です。 【2025年3月追記】 こちら在庫整理のため500円に値下げしました。当時応援してくれた皆様、本当に感謝です! 先着ノベルティは終了しましたが、ステッカーと無配ペーパー夢小説(約2000文字)は引き続き同封してお送りします! 🫧🫧🫧🫧🫧🫧🫧🫧🫧 「Twilight Lover」 R18/ハピエン/92ページ/文庫サイズ 書き下ろしの新作です。 SNSの裏垢女子の夢主と蘭ちゃんがオフパコする話です。 夢要素あり、ハピエン 梵天軸 サンプルとして一部を抜粋して掲載しますのでご確認くださいませ♡ (少し抜けている部分などございますが全体的にほぼ致している内容となっています。)
Twilight Lover サンプル
玄関に入って施錠する。カチャ、と鍵が音を立てたのを確認したらそれが合図のように「はあ……。」と今日の疲れを吐き出すかのようなため息が出た。 普段履かない8センチヒールのパンプスを脱いだらやっと足が地面についた安心感を感じた。早く起きて美容院でセットしてもらったかわいいアップヘアも、固定するUピンのせいで頭が痛いから外しながら部屋へと入る。 もらった引き出物の入った分厚くて光沢感のある紙袋と帰り道に近所のコンビニで買い物をしたビニール袋の二つをリビングテーブルに置いたらガサガサと嫌な音を立てて崩れた。 「は⁉︎ なんなの⁇」 イライラを隠せないわたしの声が一人暮らしの狭い部屋に響いてさらにイライラが増した。 袋の中を見るとわたしの置き方が悪かったのか、紙袋がビニール袋の上に重なるように倒れてしまった。中を見ると予想通り買ったものがぐちゃぐちゃと崩れてしまっている。話題のコンビニスイーツや新商品のクリームたっぷりの菓子パン、甘いカフェラテ、明日の朝ごはん……他にも色々買ったのに。 引き出物は今日はもういいや。明日か次の休みに片付けよう。どうせカタログギフトと日持ちする鰹節かなんかが入ってるんだろうし。 イライラがやるせなさに変わるのを頭のどこかで感じながらコンビニ袋から中身を取り出してテーブルの上に並べる。 とりあえず落ち着きたいと買ってきたラージサイズのカフェラテにストローを刺した。どうせお金を使うのなら、人気のコーヒーショップの甘いホイップクリームがたくさんのった冷たいコーヒーや一緒に売られてるケーキやスイーツ類にすればいいのに、そのお金の分で量を摂取したいと思ってしまう自分が本当に卑しくて貧乏臭くて腹が立つ。 あ、そうだ。 やっぱりまだイライラしている頭が何かを思い出させて、そのまま今日一日わたしをかわいく着飾ってくれていたオケージョン用のくすみピンクのワンピースと伝線しないで耐えてくれたストッキングを脱いで床に座る。そして、買ったものを太ももに乗せてショーツも写るようにスマホで写真を撮る。 リアルタイムな投稿ができるSNSのアプリを開いて『イライラしたから今から食べるよ♡また無駄遣いしちゃった……。』の文章と今撮った写真を一緒に投稿した。それから更に電子マネーの決済アプリの二次元バーコードをスクリーンショットしたものを『誰か優しい人いる⁇』と一言をつけて投稿した。 誰かしらがお小遣い程度の金額を送金してくれるだろう。深夜に絶対送金してくれるあの人も。 服も脱いだし髪の毛もスタイリング剤で気持ち悪いし、メイクと落としたい。さっき買った甘い物も食べたいけれど先にシャワーだけでもしてこよう。そうしたら後が絶対ラクだから。ゆっくり立ち上がってから、ついさっき脱いだワンピースとストッキング持って浴室へ向かった。 メイクを落として頭からいつもより熱めのシャワーを浴びた。それだけで少し気持ちが落ち着くような気がした。 今日は友達の結婚式だった。十代の頃からの遊び友達で結婚の話を聞いた時、正直「友達が減ってしまう」と思ってしまった。ちゃんと「おめでとう」って言ったけれど。 旦那様になる人は、マッチングアプリで知り合ったと言う「優しそう! いい人そう! いいパパに絶対なる!」としか言えない小太りの背の低い男だった。こういう普通な害のなさそうな男こそ意外と平気で浮気したりキャバクラで不愉快なはしゃぎ方するんだよなと偏見でしかないことを思ったのは内緒。でも、多分、アプリでこの人と知り合えたなら上等だとも思う。そのくらい普通の人だったから。 白いウエディングドレスに身を包んだ彼女はとてもキレイでとてもとても幸せそうだった。あんなに穏やかに心底安心したように笑う彼女をわたしは初めて見た。 そう。まるで。子供の時にお母さんに読んでもらった絵本に出てくるお姫様の物語の終わり。 ――お姫様は王子さまといつまでも仲良く幸せに暮らしました。 最後のページのこの一文と幸せそうなお姫様と王子様のイラスト。 それを思い出させた。 友達が幸せそうで本当によかった。わたしもうれしい。 心も頭もちゃんとそう思ってる。なのに、どこかで「どうしてわたしは一人なの⁇ どうして誰にも選ばれないの⁇」と彼女には全く関係のない理不尽な気持ちが沸いて出てきてしまう。 ウエディングドレスはとても綺麗だけれど、わたしは多分一生着ることがないまま終わるんだろう。キラキラしたダイヤの素敵な指輪だってそう。 わたしも男の人から愛されて素敵な結婚式してみんなから祝福されたいのに。 通販で買ったもう多分着ない今日の式に出席するためのプチプラの薄っぺらいワンピースとそれに合わせたバッグとパンプス。ヘアセットのための美容院。いつもしているジェルネイルも今日の式に合わせて趣味じゃないシンプルめなデザインにしてもらった。そして、ご祝儀(と雑貨屋でわざわざ買ったかわいい祝儀袋。) 大切で大好きな友達の結婚式に参列しておいて言うことではないし、決して言ったらいけないことだけど、わたし損しかしてないじゃん……。 結婚式への参列を損得感情で考えてはいけないことはちゃんとわかっている。友達をお祝いする気持ちはお金には変えられない。だけど、数字として出てしまうと予想以上のダメージがあるもので、心の中はどんどん惨めな気持ちが広がっていってしまう。 友達の結婚というおめでたいことですらまともにお祝いできないわたしが誰かに愛されるわけがない。そんな女わたしが男だったとしたら選ばないもの。 惨めで悲しくて、どうしようもない気持ちが涙になって溢れた。 一人きりなのにこんな自分が嫌で悔しくて、泣いてるって認めたくなくてただシャワーのお湯で顔が濡れただけ、ということにした。 お風呂から出て濡れたままスマホをチェックすると、早速電子マネーのアプリから入金の受け取り依頼の通知がきていた。相手と金額を確認して「ありがとうございます。」と一応心の中でもお礼を言って受け取る。アプリ内のチャット機能でメッセージもきていた。忘れないうちにお礼の返信もしないと……。 *** わたしはSNS上で所謂〝裏垢女子〟をしている。元々は自分のストレス発散の一人遊びのためにそういう動画を探すだけ、あくまで自分は見る専門だっただけだった。プロの女優さんより自分と同じ一般人の生々しい行為を見るほうが好きで専用のアカウントを作ってストレスや性欲が高まった時にログインして使っていた。 それがいつの間にか、その一人遊びを公開してその反応をもらうことがストレス発散と普段普通に生活していて満たされることなんてない承認欲求を満たすためになっていた。 最初は際どい下着姿の写真。その次は画像加工でかわいいイラストスタンプを乳首の部分に貼り付けてそこだけ見えない胸、それからその加工もやめて……と、段階を踏むように裸の写真になっていって今ではフォロワーさんからプレゼントしてもらったおもちゃを使ったりコスプレみたいな下着を身につけたオナニーの動画を上げている。 いくら顔は隠しているとはいえ、ネット上に自分の性的な画像や動画を公開することに怖い気持ちはもちろんあった。だけど、そんなことよりもアカウントのフォロワーが増えることやそれが保存されたり拡散されていくこと、見た人からの反応がうれしくて自分が認められたような気がした。意外にも同性と思われるアカウントからの反応もあってそれはさらにわたしの気分を良くしてくれた。顔なんて見えてないのに「かわいい。」「もっと見たい。」とコメントやメッセージをもらうのだから、気分が良くならないわけがない。 最初は画像や動画の公開のみで何かプレゼントしてもらったり、お金の送金のおねだりをしたりなんてしていなかった。自分の画像や動画をモザイクなしで販売している裏垢女子も多いけれど、わたしはそこまでするつもりもなかったし、そこまでするとなるとややっぱり身バレの方が怖くなる。 そんなわたしがプレゼントのおねだりをするようになったきっかけはなんとなく気まぐれ。 一回くらいはいいかなと、アカウントのフォロワーが大きく増えたことを理由に『おもちゃを使ったことがないので初めてのおもちゃをプレゼントしてください♡』と書き込んで、ネットショッピングサイトのプレゼントリストのページのリンクを貼り付けてみただけ。裏アカをする人みんなやってるしわたしもいいかな、くらいの気持ちだった。叩かれたらやめたらいいし、誰も何も贈ってこなかったらそれまでのことだから。 そんな中ですぐにプレゼントを贈ってくれたのが〝リンさん〟だった。 リンさんのアイコンは品種まではわからなかっけれど花の画像だからわりとすぐに覚えられた。この人は動画や画像を上げるたびにコメントやアプリ内のメッセージで「かわいい」「えろい」「抜ける」などのコメントをくれていた。そんなメッセージは他にもたくさんの人がくれていたけれど、リンさんはわたしを気遣うような文章も入れてくれたり、裏垢にありがちな突然興奮状態の男性器の写真を送りつけてくる、なんて無礼がないところも好感度が高かった。それがきっかけになったのかなぜか日常的なメッセージも互いに送り合っていた。仕事疲れた、とかあのプレゼントを贈ったよ、だとかそんな内容の他愛のないもの。 プレゼントリストや電子マネーの二次元バーコードの公開は常にはしない、時々にすると自分の中で決めているけど、リンさんはそんな中でかなりの上顧客でわたしの中ではかなり特別なフォロワーさんだった。お金やプレゼントを贈ってくれる人自体、すごく多いわけでは決してないけれど。 そして、今日は今のところそんなリンさんからの送金はない。メッセージのやりとり的に土日祝日や時間があまり関係のない仕事をしてるみたいだし(聞くのはマナー違反かと思ってわたしも業種などざっくりしたことも聞いていないし、彼からも聞かれたことなどない。)他人様からの送金を期待なんてしちゃダメだよね。とスマホを握っていた手はコンビニで買って来た菓子パンに伸びた。 買ってきた菓子パンたちをたらふくお腹に詰め込んだあとの満腹感。苦しいけどなぜか安心感もあって簡単に身も心もある程度は満たされる。 でも、どうせだからこのまま動画も撮ろうかな。ストレス発散になるし、動画を上げてみんながチヤホヤしてくれたらもっとわたしも満たされるし。送金してくれたフォロワーさんにお礼として動画プレゼントしなきゃだし。 ベッドに置いてあるクッションやぬいぐるみの後ろから最近のお気に入りの赤い色をした所謂〝大人のおもちゃ〟を取り出す。裏垢女子御用達の人気の物。クリトリスを吸ってくれて、挿入もできるバイブ。もちろんこれもリンさんからのプレゼント。何度も使っているのに、今から使うと思うだけで少し濡れてしまうような膣口が欲しがるような感覚。 性欲に素直になっている時は、今の嫌な気分だとか、自分のダメな部分や上手くいってない全てのことを忘れられる。 「……んっ‼︎ ぅんんんっ、あっ、はっ」 無機質なおもちゃの音となるべく大きな声を出さないように耐えながらも我慢できなくて漏れる声。固定したスマホの前で大股を広げて、膣液が溢れるからシーツにシミができた。 「ぁぁぁぁぁ、きもち、ぃ…… 」 もっと気持ちよくなりたくて手が勝手に奥へ奥へとおもちゃを押し込んで振動に合わせて腰を振ってしまう。 「あっ‼︎ んっう、んんっ! だ、めっ、いくいく!いっちゃうんんんんんんんん!」 クリトリスを吸引され続けてあっという間にクリイキしてしまった。 「ぁ……、はぁ……。」 にゅる。と力の入らない腕でおもちゃを引き抜く。電源を落として、まだまだ余韻の残る体でスマホのカメラも停止させる。脱いだショーツを履き直してベッドに転がると襲ってくる眠気。 今撮った動画の編集もまた明日にしよう。食欲と性欲を満たしたから次は睡眠欲だ。誰にも何も言われてないのに脳内で自分を正当化して瞼を閉じた。 せめて夢では王子様みたいな人と愛のあるセックスできたらいいなぁ。 なんてバカみたいなことを思いながら眠りについた。 *** 次の日は安定の寝坊をして、とりあえずの身支度をして騒々しく家を出た。 夢に王子様は出てこなかったな。て言うか、夢を見たかどうかもあやふやだ。 なんとか遅刻は免れる電車に乗れたし、コンビニで朝食を買うくらいはできそうと職場近くのコンビニで買い物することにした。 会計をするのに電子マネーで決済をしようとアプリを開いた時だった。 「⁉︎」 送金の受け取り通知がアプリ上に出ている。しかも0が4つ。今日は朝から慌てていたからスマホの通知を見ていなかった。 相手の名前を確認……。そんなことしなくてもわかる。こんなことしてくるのあの人だけだ。もう、本当に意味がわかんない。 何事もないような顔で会計をして職場へと向かう。歩きながら、さすがにこの金額は受け取れない。と受け取り拒否をした。 それから数日経ったある夜のこと。明日も仕事なんだからさっさと寝ればいいのに、ダラダラしながら夜更かしをしている時だった。 何気なく見たスマートフォンの画面に並ぶ色々なSNSのアイコンの一つに通知バッジ。妙に気になってアプリを開く。新しい通知があるのはわたしが絶対家以外では開くことのないあのアカウント。 新着のメッセージの通知だったみたいだ。送り主はリンさんで、そういえば最近は向こうからの返信がきていなかったと思ったけれど、その内容にわたしは思わず「えぇぇぇぇ……。」と、間抜けな声を出してしまった。 『この間の送金の受け取り拒否した?』 あー、やっぱりそこ聞いてくるんだ。きっと送金した分が返金されて気付いたんだろうな。 『ごめんなさい 金額が大きかったのでびっくりしちゃいました』 文字のやりとりは相手が見えないから感情や言葉のニュアンスがわからなくて、なんだか自分が怒られているように感じた。 『拒否することないじゃん』 すぐに送られてきた返信。どうやら彼もログイン中みたいだ。 『さすがにあの金額は受け取れないです!』 『今送金したから今度は受け取ってね♡』 「え。」 電子マネーのアプリを開くと送金の受け取り通知。あれから二次元バーコードを添付した投稿は削除したけれど、送金履歴やあの時のものもまだ利用期限内だから画像を保存されていたら別に可能なことだ。 今回だけ。と受け取ってからお礼のメッセージを送信した。 『ありがとうございます 何かお礼させてください』 と。 やっぱり返信はすぐにきた。 『礼なんかいらないよ』 うん。そうくると思った。 『わたしがお礼したいんです』 『じゃあせっかくだし今度ひとりじめさせてよ』 ――ひとりじめ。 その文字にドクンと心臓が跳ね上がるような感覚。 『ひとりじめとは?』 頭が悪いことを全く隠していない返信をしてしまった。何か、こういうプレイの動画が欲しいとか具体的な内容がもらえると思ったのに。 『普段してること俺だけに見せてよ』 答えが答えになっていないような気がする。送られてきたメッセージの内容はわかる。けれど、それってリンさんと直接会って見せるってこと⁇ 頭の中が?でいっぱいになる。そして、それは嫌だ。と一番に思った。リアルで会って見せるだけで終わる男の人なんかこの世にいるわけがない。 どうしよう。どういう言葉を返信していいかわからない。メッセージの作成画面で指が止まってしまったから、今日はもういいやとアプリを閉じた。時間も遅いし明日改めて返信しよう。お金をもらってしまったから、変な断り方をして相手を必要以上に不快にさせたりしたくないし、もし怒らせてしまった時が何より怖い。幸い、時間的にも「寝落ちしてました〜」と言い訳ができる時間だ。今日のところはもう寝て明日のわたしに考えてもらおう。 本当に寝てしまえば何考えないですむ。寝る支度をしてベッドへ入ろう。 翌朝はいつも通りスマホのアラームで目が覚めたけれど、一番に思ったのは昨晩のメッセージのこと。 こっちが返信してないしリンさんからも何もきてないだろう。そう思いながら念のため確認をすると、残念なことにメッセージを受信していた。 開くとそこには一枚の画像と『こっちで直接やりとりにしない? 通話でひとりじめできるし』と言うメッセージ。 その画像はメッセージアプリのアカウントの二次元バーコードだった。 今は使っていない人はほとんどいないと思われる、メッセージ以外に通話もできるメッセージアプリ。そこで直接やりとりということは、プライベートな連絡先を交換するということ。 二次元バーコードを見た瞬間に理解はできた。だけど困惑は隠せない。 え? え? ひとりじめって通話? あ、そういうこと⁇ 会う、のではなくて通話でわたしがオナニーしてる声を聞きたいってことなのね? 寝起きであまり働かない頭の中が何か騒ぐみたいに色々言っているみたいになっている。 とりあえずこの二次元バーコードのアカウント見てみよう。 そう思って、メッセージアプリを開いて送られてきたものをスキャンしてみた。 そこに出てきたのは……。 〝R〟というアカウント名と後ろ姿のアイコン。 え、なんだか若そうな雰囲気。 これ、リンさん本人⁇ 思わず指で拡大してみる。 襟足が長くて肩までついてる紫色の髪、ダボっとしたオーバーサイズの黒いパーカー。夜どこか繁華街を歩いてるところを誰かが後ろから撮ったような写真。 彼女が撮ったのかな? でも名前がRって。絶対遊ぶのを目的にマッチングアプリやってる人だ。本名がバレない程度の偽名を使うタイプね。〝リン〟と言う名前は本名ではないとはもちろん思っているけど、イニシャルがRの名前ではあるんだろうな。 髪も紫だし絶対普通のサラリーマンじゃない!何してるんだろ……こんな派手髪で許される職業……美容師やアパレルの販売⁇ でもその職業のお給料であんなにわたしにプレゼントくれたり送金したりする⁇ 意外と若い年齢ではなくて、美容院やサロン経営してるとか⁇それならまだわかるかも。オーナーで自分の顧客様だけ施術する美容師さんいるもの。 それかお金持ちのボンボンとか⁇ それもなきにしもあらず、かな。実家が太くて趣味でアパレルやってます。的なのもあり得るな。(でも、それなら遠慮なくおねだりするけどなあ。) などと寝起きの頭で、一瞬で下世話なことも含めて色々考えてしまった。 それと、わたし意外とリンさんに興味あったんだなとも思った。むしろ、あのアイコンで一気に興味を惹かれたのかもしれない。あれが本物じゃない可能性だってあるのに。 向こうから提案されたメッセージアプリでの直接やりとりのお誘いをわたしが拒否したら、またSNSを通じて「なんで?」ってメッセージがくるだろうから、めんどくさいし今このタイミングで繋がっておいた方が良さそうだ。 リンさんのアカウントを追加してから、一応自分のSNSでの名前とメッセージアプリのアカウントを教えてくれてありがとうという内容の短いメッセージを送信した。 返信がきたのは夜、というか深夜。もう寝ようとしていた時間だった。 『拒否られると思ってた』 というとても失礼なメッセージだった。 彼は絶対そんなこと思ってない。と、つい思ってしまった。 「ひとりじめしたい」なんて言ってきたくせに、リンさんとのやりとりはSNSの時と変わらないペースで、既読無視も未読無視も当たり前だった。それだけ仕事やプライベートが忙しいってことなのかな? わたしが動画や写真をあげればSNSでも反応してくれていた。当たり前だけど他のフォロワーさんたちはそんなの知らないから、まるでファンと繋がる芸能人やネットの有名人ってこういう気持ちなのかも、と謎の優越感に似た気持ちを覚えた。 *** 休日の前日は夜更かしをして、フォローしている裏垢女子の投稿を見たり、それを見た結果そういう気分になったら動画を撮ったりして過ごすのが習慣になっている。 普段まじまじと見ることなどない同性の体を見ていると、胸の大きさや体の細さなどがとても羨ましくなって劣等感を刺激されて性欲が落ちてしまうことある。まさに、今日はそれで「そりゃあこんなきれいな体なら自慢したいよね。おっぱい見せたいよね。」と一人で勝手に卑屈になって、またいつものごとく逃避するみたいに寝ようとスマホを放り出してお布団に潜った。 モゾモゾと寝返りを打ちながら寝ようと頑張っていると、滅多に鳴らないスマホから着信音が流れた。 こんな時間に誰⁇ お布団の中から腕を伸ばしてスマホを掴む。画面には〝R〟という名前と、メッセージアプリ経由の着信だという表示。 リンさんからの着信だった。 「……もしもし⁇」 お布団から頭を出してから通話を始めた。 「あ。起きてた。お疲れ〜。」 時間的にもわたしが寝ているとでも思っていたのか電話に出たことに少し驚いたような雰囲気の声色。 「お疲れ様です。リンさん、ですよね……⁇」 「え、あー、うん。そう。」 「はじめまして?」 半疑問系でそう言ったら、電話の向こうでリンさんが笑った。 「いや、お前、はじめましてって。ずっとメールしてたじゃん。」 「だって、電話初めてだし。」 「あー、まぁ確かにそうだけど。」 「そんなに笑わなくてもいいのに。」 「ごめんて。機嫌直して?」 妙に可愛らしい言い方で言われて、つい「うん。」と返事をしてしまった。 「今日やっと家帰って来れたんだよねー。」 話を変えるみたいにリンさんが話し出した。さっきとはまた違う気怠そうな声。 「ずっとお仕事だったの?」 「そー。忙しかったの。うちの上司はうるせぇし会社に泊まりはキツいわ。」 「電話してて大丈夫⁉︎ 寝なくていいの?」 「んー? だから電話したんだけど?」 ゆっくりしたペースで含みのある言い方。 「え⁇」 「お前に癒して欲しくて。」 そう言った電話の向こうの声が内緒話をするように小さくなって、まるで囁かれたみたい。その声を聞いたら急に胸がドキドキと騒ぎだして 心臓の音がリンさんに聞こえてしまいそう。 「……癒し⁇ えー、なぁに、急に。」 別にわたしの姿が見えてるわけじゃないのに平静を装った。声も多分さっきと何も変わらない、はず。 「ほら、前に言ったの覚えてねぇ? お前をひとりじめさせてって話。」 「ちゃんと覚えてるよ。大丈夫。」 あ、これは今から一人でする声を聞かせろってことね。察したら今度はお腹の下の方がきゅんって跳ねた。自分の体だけどいやらしくて情けなくなる。でもリンさんも性欲が高まったから電話かけてきたんだろうしお互い様だよね。 「お前の動画も見れてないから抜けてないんだよねー。やばいから手伝ってよ。」 「手伝う……⁇」 「いい子だからできるだろ? 俺の言う通りにしてかわいい声聞かせて♡」 語尾にハートがついたような甘ったるい声。初めてちゃんと会話をした男のそんな声に体は拒否反応を示してもおかしくないのにそんなことは全く起こさなかった。 「……。」 通話を始めてからずっと緊張なのかドキドキしているところに、さらにそんな声を聞かされて戸惑って返事ができないでいると「ほら、返事は⁇」と優しく急かしてわたしに「できない」なんて言わせない。この声はまるで甘い罠みたいだ。 「ぁ……。できる……、できます……。」 無意識に敬語に言い直したわたしの返事を聞いたリンさんは「うん、いい子♡ご褒美あげたいねぇ。」ととても満足そうな声。 「今お前、ベッドの中?」 「うん。」 「いつもの動画みたいに下着になってよ。」 「ん。なる……。」 通話をスピーカーにしてから、着ていた部屋着をモゾモゾと脱ぐ。耳にずっとスマホを押し当てていたから右耳が変な感じ。 下着姿になった時につい下半身に目をやってしまう。もうすでに膣口に水分の感覚。 「リンさん? 脱げた……。」 部屋にはわたししかいないのになぜか声が小さくなってしまう。隣の部屋の人に声を聞かれたくないのはもちろん。でも何より、いけないことをしている気持ちが強くていつもよりずっと興奮しているのかも。 「……今から動画撮ってもいい?」 リンさんの返事を待たずに続けて話した。我ながら裏垢女子らしい発言だと思う。せっかく今からお話ししながらえっちなことをするのなら動画を残して自分のアカウントで公開してまたそこでも満たされたい。 「あー? ダメに決まってんじゃん。ひとりじめなんだから俺だけに集中して?」 「……はぁい。」 「俺の言うこと聞けて偉いね〜。かわいい。」 その言葉にまたお腹がきゅんと飛び上がって喜んだ。 ―――――――――――――― 「ワンピースかわいいね。脱がすのもったいねぇな。」 そう言いながら彼の長い腕が静かにカーディガンを脱がしてワンピースのファスナーも器用に下ろしている。 「もったいないって言いながら脱がすの⁇」 「こんなかわいい服着てなんにも知らなさそうな顔してんのに、たいして知りもしない男とヤっちゃうって思ったら脱がしたくもなるでしょ。」 ストンとワンピースが床に落ちる。ハンガーにかけたいけど今それしたらせっかくの雰囲気が台無し。 「フリフリちゃんじゃん、かわいー♡」 ブラの上を彼の指がスルスルと滑る。 「かわいいの着て蘭ちゃんのこと誘惑してる?」 甘えた声の後に、胸にちゅってリップ音。 「誘惑してるって言ったら、どうするの⁇」 セックスするのに会ってるのに白々しい会話。でも彼はそれすら楽しいようで機嫌が良さそうに見える。 「こんなかわいいお誘い乗るに決まってんじゃん♡」 そう言って蘭がベッドに腰掛ける。伸びた脚が長くてつい見つめてしまう。 「ほら、ここおいで。」 ポンポンと彼の手のひらが示したのは自分のお膝。わたしは一瞬考えたけど、こういう体勢かな?とそこへ向き合うようにして座る。そして、それは正解だったのかとても自然に腰へ長い腕が回った。細いけど意外と筋肉のついたしっかりした腕だ。 「キスしてもいい?」 じーって紫色の瞳がこちらの様子を伺うように見つめる。 「……。」 さっき車の中でしたくせに。 「あ、キスはオプション? いくらー⁇」 「え⁉︎ いや、オプション……とかないから……。そんな、風俗、みたいなこと言うのやめてよ。」 「じゃあ遠慮なく〜♪」 ニコニコしながら顔が近付くから、そういう優しいキスをされるかと思ったのに。噛み付くみたいなキスで息もさせてもらえないものだった。 「んんっ‼︎ ゃっ、んっ……。」 舌が入ってきて口の中を確認するみたいにゆっくりと舐められる。ゾワゾワするような感覚に襲われて逃げたいのに腰をしっかりと両手で掴まれて動けない。 「……んっ、んっ 」 舌にジュジュジュッて吸いつかれて痛い。 今わたしが飲み込んだ唾液はどっちのものなんだろう⁇ 唇が離れたらぱち。と目が合った。慌てて目を逸らしけど、そんなのバレてしまっていて「ダメでしょ?」って片手が頬に触れた。 「ちゃんと俺のこと見て? 俺以外見ちゃダメ。」 そんな愛らしい物を見るみたいな目でしっかりと見つめられたら困る。好きになってしまいそう。 キレイにセットされた髪の毛、前髪長いのかな? 終わってからシャワーしたらまた雰囲気変わりそう。見てみたいな。 左右の歪みなんてない平行眉も髪とおんなじ色。わざわざ染めてる? 美意識高い。まぁこれだけ整ってるから手もかけたくなるよね。 こんなに強い圧のある見た目なのにタレ目なんだ。それが妙に色気を出してる、気がする。 「何⁇ そんなに見つめられたら照れちゃうじゃん。」 全然照れた顔してないよ。 そう言おうと思ったのに。 「……かわいい。」 なぜかわたしは無意識にそう口走って、蘭は何か言いたそうだったけれどそんなの無視して今度は自分から唇を重ねた。 唇を甘噛みしていたら舌を絡め取られた。蘭の片手はずっとわたしの体を支えていて、もう片方は繋がれて離してもらえなさそう。 「んっ、ふぅ、ぁっ……。」 上顎を撫でるみたいにゆっくり蘭の舌が這って思わず声が出てしまう。反応をしてしまったせいか蘭はやめてくれなくて、わたしは空いた片手で蘭の肩を掴んでその行為を受け入れた。 そんなわたしを見てもう抵抗や拒否をしないと蘭も思ったのか腰にあった手が上半身を撫でた。 「あっそれ、やだ。くすぐったい。」 わざとゆっくり脇腹などの弱いところを指先で撫でられて笑いそうになってしまう。 「笑っちゃうから、ダメ。」 「じゃあこっちならいい?」 そう言って蘭の大きな手のひらが右胸に触れた。 「あ。」 「ここもダメ?」 甘えたような顔してそんなこと聞かないで。 黙って小さく左右に首を振る。それを見た蘭は返事をするみたいにキスをしてきた。さっきまでの荒いキスじゃなくて、急に優しく何度も角度を変えてキスをするから、もうやだって弱音を吐きたくなる。そして、決して大きくない胸が柔らかさを確認するみたいに蘭の手のひらに包まれた。 キスしながら胸触りたいみたいなことこの前電話で言ってたような……。気持ちよくて今はあんまり思い出せない。 「……ん、ぅ、は、んぁ……。」 下着の上から撫でるように触らされる。もどかしいけど気持ちよくって呼吸をする時に声が漏れる。絡み合った手をほどいて、ぎゅって抱きつくみたいに蘭の首に腕を回した。 「両方触って欲しいの⁇」 いやらしく口角を上げてわたしに問いかける。 「んっ。んっ。」 恥ずかしくて答えられなくて胸を手のひらに押し付けると、蘭は見せつけるように舌なめずりをした。 「ちゃんとそのかわいいお口で言って? 言えるでしょ⁇」 そう言いながらブラの上から弱く乳首を摘まれた。 「あんっ‼︎」 「あれ? もう硬くなってんの? やらしー。」 「さっき、くすぐったいことするから……。」 「あんなんで乳首勃っちゃったの?」 「だって……。」 「かわいいねぇ♡」 「もっと……し、て⁇」 「ん? もっと⁇」 蘭の片手が半ば無理やり、ブラの下から侵入してくる。直接触られるのが嬉しくて蘭の手に乳首を擦り付けるように体を動かしてしまった。 「あ、あん。んぁ。あっ。」 「きもちい?」 「蘭ちゃんにさわって、ほしい、の……。」 「どこ? お前はいい子だから言えるよな?」 蘭はニコニコしていて、言葉を言い終わるとわたしの動きを止めるみたいに深い深いキスをしてきた。否応なしに流し込まれた唾液も今はきっと媚薬になる。 「……蘭ちゃんに、直接……乳首、触ってほしい、です……。」 耳元でこっそりと囁くように言うと「ちゃんと言えてえらいね。」ってご褒美のキスをもらえた。 「ん、ふ、ぁ……。」 キスを味わっている間にブラが外されて胸が露わになる。 「いつも動画で見てるやつだ。」 「や、だぁ……。」 改めて言われると恥ずかしくなる。 「ほんとにひとりじめできるなんて蘭ちゃんしあわせ〜♡」 蘭はそう言うとわたしを軽々と持ち上げて自分の膝から降ろすとベッドに投げるようにして寝かせた。部屋のランクに合った上質なマットレスのおかげでどこも痛くなかった。 「え? 蘭ちゃん⁇」 「あー。お前もうすげぇ濡れてんじゃん。シミできちゃったー。あーあ。」 わざとらしいその言い方に思わず上半身を起こす。蘭の絶対高級ブランドの物であろうスラックスの一部の色が濃くなってしまっているのがわかった。 「ごめんなさい……。」謝ると「別にいいよ。」とおでこを撫でてくれた。 「どうせもう脱いじゃうし。」 そう言って蘭が目の前で恥ずかしげもなく服を脱ぎ捨てていく。 「おまたせ♡いっぱいきもちいことしようなぁ♡」